では、営業マン以外なら、どうなりますか?
売掛金、買掛金の管理をしている経理担当者を例に挙げましょう。
売掛金の入金予定日を営業マンに聞いて、いい加減な返事をされるとそのままほったらかしにする担当者、あなたの会社にはいませんか? 「聞きましたけど、ちゃんと返事をしてくれませんでした」で終わってしまい、それ以上はワタシの仕事ではありません、というタイプの社員です。
こういう社員がまかり通る会社では、入金予定表と出金予定表を経理の責任者 が見比べて、お金が足りないと社長に「足りないのでどこからか借りてきてください」と言うか、経理部長が必死に金策に走り回るかのどちらかです。そんな社長や経理部長の苦労を、入出金の予定表を作った経理担当者も、入金予定を聞かれていい加減な返事をした営業マンも、まったく知りません。あるいは知っていても「それは他人事」と思っているのです。
損益計算書上の利益とキャッシュは違います。利益は「売り上げ−費用」で計算できますが、キャッシュは「手元現金−現金支出+現金入金」です。その結果が、リアルな手元現金というわけです。これは、現金商売でも同じです。現金商売なら、利益とキャッシュが一致しそうですが、コストの中には現金支出を伴わないコストや不動産購入のように費用にならない現金支出があったり、借入金による現金入金があったりするため、必ずしも一致しません。
多くの社員がキャッシュフローの意味を理解することにより、売り上げや利益だけでなく、毎日の入出金にも関心を持つようになり、資金繰りが改善するはずです。もし、前述の経理担当者が資金繰りの大変さを知っていたら、どうだったでしょうか。営業マンを捕まえて、請求書は出したのか、入金が遅れるのはなぜなのか、いつ入るのか、入金が遅れると、どれほど会社にとってリスクなのか、営業マンにこんこんと説明していたことでしょう。
また、商品や原材料の購買担当者なら、商品の陳腐化や劣化による損失やキャッシュフローの悪化を理解するようになります。その結果、月次決算で数字として現れてくる在庫金額の重みにも気付きます。必要なものをタイムリーに、必要な量だけ確保していくことの大切さを痛感して、担当者として何をするべきかが分かり始めます。
透明会計の実践によって、 社員の多くが会社経営の本質を体感することができ、その結果「当期純利益の増加とキャッシュフローの拡大が自分たちの務めである」と理解していくでしょう。

